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AG-HPX305 カメラレポート②

●AG-HPX305を選んだ理由

去年撮影した『古代少女ドグちゃん』のパイロット版同様、CGやグリーンバックなど合成カットを多く含む作品だったので、VFXチーム側より「収録は合成作業の処理が楽なAVC-Intraで」との要望があった事が主な理由。合成のないカットも含め収録はAVC-Intra100, 720/23.98pNに。あとは、アクションシーンもあったので、手持ち撮影を想定して機動性(カメラの軽さ)も考慮に入れた。それから、現場での、特に役者の、テンション(やる気)も考慮に入れ、同じ1/3インチでもハンドヘルド・タイプのHVX200やHPX175は避け、肩担ぎタイプのカメラにしたかった。(一見、些細な事のようだが、意外と重要)

●使用メディア(P2)の現場でのメリット

ロールチェンジの時間が少なくて済む。

巻き戻し不要のプレイバック操作。

●ポスプロ作業でのワークフロー

ファイナルカットプロを使用して編集、仕上げまで行う。(仕上げ作業はシネマサウンドワークスにて行う予定)

●データの取り込み/管理/バックアップ方法について

今回の撮影期間は2週間で、P2カードは16GB(40分収録@AVC-Intra100, 720/23.98pN)を3枚用意した。現場での収録中に一枚目のカードがいっぱいになれば、もう一枚のカードと交換し、現場に用意してきたHDDにMac Book Proを用いて助手がデータの取り込みを行った。1日に2回ほどはデータ取り込みのため、カメラ周りに助手が一人だけになったが、16GBのデータなら確認作業まで含めても30分程度で済むので、現場的に特に問題はなかった。その日の取り込み残しのデータの取り込みや、取り込み済み素材の確認作業は、助手が宿に戻ってから行わなければならなかったが、データ量的にそれほど多くないので、寝る時間を削って明け方までの作業という状況にはならずに済んだ。

撮影期間中、撮影済みのデータは基本的に撮影部で管理したが、HDDを3つ用意しておき、溜まった撮済みデータをプロデューサーが2、3日おきに現場からピックアップし、編集マンに送り届けてもらった。

●カメラの使用感について

カメラの感度は、今までと比べてそれほど明るくなったという気はしなかった(Cinelike Vの設定でISO400くらい)が、ゲインを+3dBにしてもノイズ感は余り気にならなかった。ただ、絞りなどの条件によっては、暗部のS/Nノイズが気になる場合もあった。

レンズは、標準仕様としてFujinonの17倍ズーム(4.5-77㎜)が付いていたが、小さくて軽くフォーカス送りの時に少しブリージングが起こるのが気になった。ワイドめが必要だったのでワイコンを探してもらったが、丁度合うサイズがなく、代わりに用意してもらったショートズーム(Fujinon 13x3.5㎜)の方が使い勝手が良かったが、ワイド側でf2.8辺りで撮影していると、画面の周辺部分の色収差(にじみ)が少し気になったので、このカメラに対応するレンズがまだ少ない現状においては、このレンズも早くCAC(色収差補正)機能対応にしてもらいたいところである。

HPX175やHMC155のように、簡易タイプではあるが、LCDモニター上に波形・ベクトルスコープが表示できるようになり、いちいち波形モニターで確認する手間が省け、低予算の現場にはかなり重宝した。

●改善して欲しい点

アクションシーンや合成素材の撮影では、仕上げの段階でイメージを拡大する可能性があるので、しばしば、1080のフォーマットで撮影することがあったのだが、その都度、カメラの電源をオフにしなくてはならず、わずがな時間ではあるが、現場が止まってしまうので、もっとスピーディに切り替えが出来ると嬉しい。

それから、1080の時にもハイスピード(60p)に出来るようになってくれると有り難い。

720/24pNモードでハイスピード(60p)にする時、シャッタースピードが1/60以下にならないので、ノーマル撮影時と同じ絞りで行けるよう、少なくとも1/50になるようにはして欲しい。

●現場でのスタッフ構成、撮影機材

撮影部:技師、助手2名、照明部:技師、助手4名、録音部:技師、助手1名

使用カメラ:AG-HPX305 1台のみ

●カメラ設定

AVC-Intra100, 720/23.98pN

AVC-Intra100は合成作業のやり易さからの選択。合成カットが多いため、本編のドラマ部分も同じフォーマットに統一。映画っぽさを出すため(カードの節約もあって)23.98pNを選択。但し、ポスプロ時に拡大など画像処理の可能性のあるショットは1080/24pNで収録。

●結果に満足か

合成部分の仕上がり具合や暗部のディテールなどは、ポスプロ作業で見てみないと分からない部分もあるが、また是非違った条件で使ってみて、あがりを見比べてみたいと思います。

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●カメラマン・プロフィール

名前:百瀬 修司

所属:フリーランス

作品履歴:『魁!!クロマティ高校 The Movie』(2004/映画)、『怪奇大家族』(2004/TVドラマ)、『夢十夜』(2007/映画)、『東京残酷警察』(2008/映画)、『テケテケ』(2008/映画)、『吸血少女対少女フランケン』(2009/映画) など

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