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Panasonic AG-DVX200 テストレポート

10年程前、撮影でDVX100や100Aばかりを使っていた時期があった。そのDVXシリーズの復活ということだが、200の現物を初めて見た時の印象は「デカっ!」であり、実際に手に持った時の感想は「重っ!」だった。そのくらい、DVX100に慣れ親しんだ者としては、そのサイズ感のギャップに少し驚かされた。今回、短い期間ではあったが、幸運にも発売前のDVX200をテストする機会を得たので、その時の様子をレポートしたいと思う。

バランスの良いハンドヘルドタイプカメラ

これまでの4K対応レンズ一体型カメラは、センサーサイズが1/2.3型や大きくてもせいぜい1.0型までで、浅い被写界深度によるボケ味表現にやや物足りなさを感じていた人には、4/3型サイズでのボケ味は嬉しいのではないだろうか。もちろん、スーパー35mmや35mmフルサイズの方がもっと浅い深度を得られるだろうが、フォーカス操作はかなりシビアになるから、手持ちで気軽に撮影とは行かないかもしれない。それに、大判センサー用の10倍以上のズームレンズとなると相当巨大なサイズになってしまい、もはやハンディタイプのレンズ一体型カメラとして成立させるのは難しいだろう。冒頭で「重っ!」という感想だったと述べたが、DVX200の3kg弱という重さが手持ち時の細かい手ブレを抑えてくれるし、5軸ハイブリッド手ブレ補正機能も使えば、三脚などなくてもかなりスムーズなフレームワークを行うことができる。このように、操作性の面からも良く考えられているハンディタイプカメラと言えるだろう。

撮影フォーマットと画角

パナソニックの説明では一体型ズームレンズの焦点距離は、FHD1080の場合が28㎜~365.3㎜、4K/24pが29.5㎜~384.9㎜(35mm換算)とある。それ以外にもUHD2160 29.97p/23.98p 100Mの場合や、UHD59.94p 150Mの場合に画角が少し狭くなる。<写真(サンプル動画)参照>

FHD1080での広角側は28㎜*

4K 24pでは29.5㎜*

UHD 23.98p/29.97p 100Mでは約30.6㎜*

UHD 59.94p 150Mでは約37.2㎜*(*いずれも35mm換算)

画質面の比較だが、やはり4KとHDの差は歴然で、600%に拡大すればその違いがよく分かる。フルHD同士でALL-I 200Mbpsと50Mbpsの違いも比較してみたが、ALL-I 200Mの方がビル壁面のディテールがより認識できる程度で、今回のテストでは大きな違いは見られなかった。

HDと4Kでの画質比較

VFR(バリアブルフレームレート)

アクション映画を撮影する場合、役者の動きを優雅で華麗に見せるため、72fpsや96fpsなどのHSで撮影したり、それとは逆に、少しだけコマ数を落としてアクションをより素早くキレのある感じに見せたりと、フレームレートを変えて撮影することをよくする。これまでは、HSやコマ落とし撮影の両方ができ、しかもコマ数を細かく設定できるカメラとなると種類はかなり限られてしまい、ハイエンドの大きく重いカメラを我慢して使わざるを得ないことが結構多かった。その点、DVX200はフルHD(50M)撮影のみだが、可変フレームレート機能が使え、2fpsから120fpsまで撮影コマ数を細かく選択できる。GH4では96fpsまでだったが120fpsまで上がり、24pベースで最大5倍のHS撮影も可能になった。<チャート参照>

HD画質での60fps以上のHS撮影に対応したカメラというのは、最近、少しずつ増えてきてはいるが、コマ数を細かく選択できる機種はまだまだ少ないのが現状なので、DVX200は貴重な存在と言える。ただ、60fps以上の設定からビットレートの値が落ちてくる(60fps時で約40Mbps、96fps時で25Mbps、120fps時だと20Mbpsで更に画角も20%ほど狭くなる)ので注意。60fpsで撮るのならVFRモードでなく通常設定<FHD1080 59.94p>で撮る方が(音声も収録できるし)いいかもしれない。

<写真(サンプル動画)参照>

左は2fpsでビットレートは約50Mbps。右は120fpsでビットレートは約20Mbps(画角も20%ほど狭い)

ちなみに、「出力ビット数」を「4:2:2 10bit」に設定した場合は、VFRモードは使えない。また、VFRモード時にV-Log Lモードは使えないなどの制約がある。

V-Log Lガンマ

DVX200は12ストップのダイナミックレンジを持つV-Log Lガンマ機能を搭載。VARICAM 35やVARICAM HDの14+ストップよりはやや劣るが、暗部からハイライト部まで幅広い範囲での再現力を持つ。DVX100Aから搭載されたCinelike DやCinelike Vなども健在で、V-Log Lをその他のガンマ設定と比較してみた。<写真(サンプル動画)参照>

-Log Lに設定すると、ローコントラストで色味の薄いフラットな画調となるので

LUTを当てるなどの色調整作業が必要になる。

テスト映像を見ると、V-Log L設定以外はどれも腕のあたりが白飛びしてしまっている。ここでは比較のためあえて同じ絞り設定にしたが、Cinelike DやCinelike Vなどは白飛びを防ぐため、絞りを1/2ストップほど暗めに設定するように指示している。V-Log Lの設定ではいくら絞りを開けてもハイライトの部分が80%以上からオーバーしないような作りになっている。

映像を一時的にREC.709カラースペース表示に切り替えることができる「ログビューアシスト」機能があるので、波形表示と合わせて実際にルックを確認しながら絞りを決めることができる。あくまでルックの確認が目的のこのログビューアシスト機能、カメラの内部収録時の記録映像にLUTは反映されないが、外部出力ビデオ信号には反映されるので外部収録用の簡易LUTとしては使用できるようだ。

V-Log L収録:「4:2:2 (8bit)」内部収録 vs.「4:2:2 (10bit)」外部収録

DVX200の記録設定には「出力ビット数」というのがあり「4:2:2 (10bit)」か「4:2:2 (8bit)」のどちらかを選択できる。カメラ本体内へ収録する場合は「4:2:2 (8bit)」設定しかできなく、しかも実際にSDXCカードへ記録される信号は「8ビット 4:2:0」状態になってしまうようだ。ローコントラストで色味も薄いフラットな画調となるV-Log L収録素材は、撮影(外部収録)時にLUTを当てたりしなければ、ポスプロでグレーディングすることが前提になる。DVX200でLog収録する時、「4:2:2 (8bit)」設定で内部収録(実質8ビット4:2:0)した場合と「4:2:2 (10bit)」で外部収録した場合とでは、グレーディング時にどのような差が出るのか比較検証してみた。<写真(サンプル動画)参照>

左はDVX200内部でのSDXCカード収録、右はATOMOS SHOGUNへのProRes 422 HQ収録。

Log状態のままのフラットなイメージは元より、LUTを当てた後の映像も一見すると大した違いは見られないが、細部を拡大してみると8ビット設定の方は10ビットに比べ発色が弱く、ノイズもやや目立つのが分かる。露光不足など撮影条件が悪い場合や、もっと色調整が必要な場合だと、8ビット収録素材の方が先に破綻してくる可能性は高いと言える。もし、Log収録をする必要があり、ポスプロでのグレーディング作業や合成作業が前提となる場合には4:2:2 (10bit)での外部収録をする方がより安心だろう。

先輩の100や100Aに比べ、やたら大きくて重いという印象のDVX200だったが、型番が100から200になっただけでなく、SD撮影だけだったものが4K撮影対応になり、センサーサイズも1/3型から4/3型へと大型化、そのためレンズも高性能化されているわけで、その進化の結果が、カメラの大きさ・重さにも現れて当然と言えるだろう。また、新型バリカムと同じタイプであるV-Log LガンマによるLog収録機能や、HD撮影のみだが、最大120fpsのVFR機能と、4K撮影で使用しなくても十分魅力的な特長が備わっており、様々な撮影で使ってみたいと思うところは、DVX100を初めて手にした時の感じと同じかもしれない。

Panasonic AG-DVX200 TEST: VFR / V-Log L / ISO

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