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JVC GY-LS300 テストレポート

JVC GY-LS300 ファーストインプレッション

JVCケンウッドはこれまで、SDカード4枚で4K映像を分割収録するカメラ(GY-HMQ10)やニコンFマウントを採用した4Kカメラ(GY-HMQ30)を作るなど、常に独創的な発想とアプローチで独自の路線を歩んできた。今回発売になった4K対応カメラGY-LS300も、スーパー35mmセンサー搭載でありながらマイクロフォーサーズ(MFT)のマウントシステムを搭載したり、独自開発のスキャンマッピング技術を採用するなど斬新なアイデアに溢れていてかなり興味深い。先日、幸運にも発売前のデモ機を触らせてもらう機会が得られたので、その時の印象をレポートしよう。

◯新開発4K対応 スーパー35mmCMOSセンサー

GY-LS300はJVC独自開発による4K対応スーパー35mmCMOSセンサーを搭載し、総画素数1350万画素、基準ISO感度400、ダイナミックレンジも最大12ストップを実現したという。大判センサーによる高画質で高感度、かつ浅い被写界深度でのボケ味を活かした映像表現が可能だ。

JVCが新たに開発した画像処理エンジンにより、4K(3840x2160)収録で30p/25p/24p、HD収録であれば60p/50pのフレームレートにも対応。記録レートは4Kで150Mbps、HDでは50Mbps(4:2:2)に対応。記録ファイル形式はH.264コーデックによるQuickTime(MOV)を採用し、HD解像度以下ならAVCHD(MTS)形式の選択*も可能。*但しフレームレートに制限あり

収録メディアはSDカード(SDHC/SDXC)を使用。他社のカメラで使用するCFastやXQDカードに比べてかなり経済的。ダブルスロットでの「連続記録」「同時記録」「バックアップ記録」と用途に合わせた収録方法が選べる。3G-SDI、HDMI端子からの外部出力が可能だが、4K信号はHDMI出力からのみ。

ガンマ設定は「スタンダード」と「シネマ」の2タイプのみ。「シネマ」はハイライトを抑え暗部が締まる、パナソニックのガンマ設定でいうところの「シネライクV」のようなコントラスト重視の設定。ダイナミックレンジを優先させてフラット調になる「シネライクD」のようなタイプやLogなどのガンマ設定はない。カラーマトリックスは「スタンダード」「シネマ(和やか)」と「シネマ(鮮やか)」の3タイプから選べる。

ガンマ:スタンダード / カラーマトリックス:スタンダード

ガンマ:シネマ / カラーマトリックス:シネマ(和やか)

感度設定は基準感度ISO400(0dB)からISO6400(24dB)までの13段階。ISO3200辺りから若干暗部のノイズが気になり始めるが、ドキュメンタリーなどの作品ならISO6400で撮影してもほぼ問題ないのではないだろうか。Loluxモードにすれば、ノイズは増えるがISO12800(30dB)とISO25600(36dB)まで更に上げることができる。NDフィルターはクリアー(OFF)、1/4、1/16、1/64の4ポジション回転式を搭載。

ISO400(0dB)@4K

ISO6400(24dB)@4K

◯独自開発バリアブルスキャンマッピング技術

スーパー35mmセンサー搭載のGY-LS300は交換レンズマウントとしてマイクロフォーサーズシステムを採用している。アクティブ方式なので、豊富なマイクロフォーサーズのレンズ群を絞りやフォーカスなどをカメラ本体から制御して使用できる。電子接点付きのマウントアダプターを使えば、キャノンEFやニコンのGタイプなどマニュアルタイプ以外のレンズでも使用可能だ。

これまでマイクロフォーサーズマウントを採用したスーパー35mmセンサーサイズのカメラなど存在しなかった。通常、マウント変換してマイクロフォーサーズ系レンズをスーパー35mmセンサーサイズのカメラに装着してもオーバーイメージサークルという状態になり、画面の周辺部分にケラレやにじみが生じてしまう場合が多いからだ。この度、JVCは使用するレンズのイメージサークルに合わせて撮像素子のスキャン範囲を任意に変更・選択することができるバリアブルスキャンマッピング(VSM)という技術を独自に開発し、ケラレなどの問題を気にする必要がなくなった。

4K撮影時には、スーパー35mm(100%)から4K Dot by dot(86%)、MFT(80%)までのいくつかのサイズ選択が可能で、それぞれのレンズのイメージサークルの個体差に合わせて細かい設定ができる。さらにHD収録であれば、スーパー16mm(52%)、HD Dot by dot(43%)までの選択が可能となるため、マウントアダプターさえあれば、スーパー16mm用レンズやB4マウント(2/3インチ)のENG用レンズなど、マイクロフォーサーズより狭いセンサーサイズ用のレンズも使用できる。様々な種類のレンズの中からその都度の撮影条件に合わせレンズ選択をすることができて非常に便利だ。

<VSM設定値>

【4K/HD収録】100%(Super35)/97%/95%/92%/89%/86%(4K)/83%/80%(MFT)

【HD収録】76%/72%/67%/63%/59%/54%/52%(Super16)/47%/43%(HD)

◯マイクロフォーサーズレンズ装着時(4K収録)

使用レンズ:オリンパス M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

VSM:100% Super35

VSM:86% 4K

VSM:80% MFT

◯16mm用レンズ装着時(HD収録)

使用レンズ:ソンベルチオ Cinor P 25mm F1.8

VSM:100% Super35

VSM:52% Super16

VSM:43% HD

マイクロフォーサーズマウントのレンズ交換式ハンドヘルドタイプカメラというと、パナソニックのAF105を連想する人もいるのではないか。パナソニックは4KカメラをGH4とバリカム35の二路線に集約してしまい、今のところAF105タイプの継続は断念しているようだが、AF105の後継機を待ち望んでいた人にとっては、GY-LS300が丁度その代わりとなってくれるのことだろう。バリアブルフレーム機能や「CINE-LIKE D」ガンマ設定などはないが、低予算フィルムメーカーやハイアマチュア、さらにオールドレンズファンまでLS300に興味を持つ層はかなり多岐に渡るに違いない。

Camera & Lens:

JVC GY-LS300 4K [3840x2160] / 30p / MOV 150Mbps [UHQ] HD [1920x1080] / 30p / MOV 50Mbps [XHQ]

Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO [MFT] Olympus M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 [MFT] Som Berthiot CINOR P 25mm F1.8 [16mm C-mount]

Model: Tami Maeda 前田多美 Location: Shinjuku, Tokyo, JAPAN Edit: Final Cut Pro X

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