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「さすらい合宿 in なんと」で感じた地方創生・地域活性のあり方

Matosen blogに寄稿>

2018年、冬の足音も近づく11月の富山で「さすらい合宿 inなんと ~移住したくなるショートPVコンペツアー 2018 Autumn」という富山県南砺市主催によるフリーランス向け合宿企画に参加してきました。南砺市をPRするための1~2分のショートムービーを制作するため、2泊3日という短い滞在期間でしたが、初めて訪れた南砺という街のことを知るとともに、今の日本における地方創生や地域活性の必要性を改めて考え直すきっかけとなる貴重な体験となりました。

世界遺産 相倉合掌造り集落

世界遺産「相倉合掌造り集落」

2泊3日南砺での体験合宿

朝、東京から北陸新幹線とJR城端線を乗り継いで4時間半、お昼過ぎには終点の城端駅に到着。思っていたよりも近い印象を受けました。今回の企画運営を担当された「まとめる専門家」代表の松本さんのもと、各地からやって来たフリーランサーの参加者5人は早速南砺見学をスタート。世界遺産の相倉合掌造り集落や、日本遺産「木彫刻のまち井波」の瑞泉寺や八日町通りを訪れ取材撮影を行いました。

ためになった「ど真ん中名刺作り」研修

ためになった「ど真ん中名刺作り」研修

その夜は里山にある移住体験ハウスのひとつ太美山体験ハウスに集まり、まずは地元の「ヤマシナ印刷」代表の山科さんによる「ど真ん中名刺作り」というフリーランス研修を受けました。名刺作りということでてっきり、今回のコンペの参加者が滞在中に配るための名刺でも作るのかと思っていたのですが、そうではなく「今後自分が仕事や活動をしてゆく上での志や目的とは一体何か」を改めて考えてみるというフリーランスにとってはとても意味のあるありがたい内容の講義でした。

寒い夜にぴったりのイノシシ鍋

その後は、地元の方たちとイノシシ鍋など郷土料理を食べながらの懇親会。色々と情報交換などしての楽しい時間でしたが、そのまま太美山体験ハウスに泊まる自分以外の参加者は車を運転して帰らなくてはならず、お酒を飲んだのは自分だけと盛り上がりに少し欠けた感があったのは残念でした。

翌日は朝から「まとめる専門家」松本さんの車に乗せていただき南砺市内にある学校や病院、公園などの行政施設や文化施設などを撮影して回りました。今回、松本さんには当日の車の運転だけでなく事前に撮影場所選びの相談にのってもらったり、各施設の案内をはじめ南砺での暮らしの様子など色々と話を聞かせてもらったりと、限られた時間の中でもとても中身の濃い取材撮影を行うことができ、本当に感謝の言葉しかありませんでした。

撮影で訪れた旧富山県立農学校本館「巌浄閣」

撮影で訪れた旧富山県立農学校本館「巌浄閣」

最終日は、午前中に善徳寺周辺を散策したあと、午後から再び参加者同士で集まって意見交換会を行いました。今回の体験合宿を通じて得た感想や意見を参加者みんなで出し合い今回のコンペツアーは終了となりました。自分はそのまま新幹線で東京へ戻り、再び慌ただしい都会での生活に戻ることになりました。あっという3日間の体験合宿でしたが、今回の合宿を通じて感じ得たことも色々とありました。

最終日の参加者による意見交換会
最終日の参加者による意見交換会

最終日の参加者による意見交換会

今回の体験合宿で感じたこと

本格的な移住であれ短期間の滞在であれ、地方で生活するためにどのような準備や対策が必要か実際にその土地に行って生活してみないと分からないことも多いでしょう。南砺市はそんな人のために移住体験ツアーや体験ハウスなどの支援体制が充実しています。今回のショートPVコンペツアー企画のアイデアなどもその一つなわけで、さすが「住みたい田舎」2017年の総合部門ベスト3に選ばれるだけのことはあるなと思いました。

今回、自分が宿泊で利用した太美山体験ハウスは都会暮らしの人が憧れそうな古くて何とも言えない趣きのある大きな古民家でしたが、お風呂やトイレなどは最新設備に綺麗にリフォームされていて何不自由なく使えました。1泊1人1000円と格安で最長30泊まで利用可能で、ここ以外にももう一軒、一般住宅タイプの体験ハウスも用意されているそうです。

夜は想像以上に寒かった古民家タイプの「太美山体験ハウス」

夜は想像以上に寒かった古民家タイプの「太美山体験ハウス」

移住を考えている人は事前にこのような体験ハウスを利用して、特に冬場の厳しい寒さも“お試し体験”してみることをお薦めします。富山の11月の夜は想像以上に冷え込み、屋内でもかなり寒く、自分の場合、テレビのある一番狭い部屋でひと晩中ストーブをつけて布団にくるまって耐えていました。都会の人には憧れの古民家住まいだったりしますが、冬の寒さにはそれなりの心構えと準備が必要だと思い知らされました。

町中の移動手段への対策も必要です。前述したように、今回の滞在中は運営者代表の松本さんの車で市内のあちこちへ連れて行ってもらえたので助かりましたが、毎回地元の人の好意に甘えるわけにもいかないですし、今後また南砺を訪れる際、移動方法をどうするべきか考えてしまいました。「なんとバス」という市内バスも走ってはいますがそれほど本数があるわけでもないですし、タクシーを利用しようにも移動範囲が広いだけにタクシー代も馬鹿になりません。

レンタカーでもいいのですが、自分が東京でよく利用するカーシェアサービスなんかがあれば気軽に利用できていいのにと思いました。お試し移住体験で訪れるような短期滞在者同士で利用できるカーシェアのようなシステムがあれば、都会からでもより気軽に南砺を訪れられるようになるのではないでしょうか。

「日本遺産 井波木彫刻」も地元に根付いた後継者不足が問題

「日本遺産 井波木彫刻」も地元に根付いた後継者不足が問題

また、他の地方と同様、南砺市も少子高齢化による影響は深刻で、農家や工場での働き手不足や後継者不足、空き家の増加など多くの問題を抱えています。そのような対策の一つとして南砺市には「応援市民制度」という市外から南砺市を応援できる制度があることを知りました。繁忙期の農作業を手伝ったり、空き家修理に協力したり、地域の行事やイベントに参加したりと南砺を愛する人たち各々ができる形で南砺市を応援するというボランティア制度的なものです。

実際に南砺に来れなくてもふるさと納税することで貢献する人もいるでしょう。ならば、それをさらに発展させた「セカンド市民制度」のような形もありではないかと思いました。南砺を応援してくれる人を“セカンド市民”とし、その貢献度に合わせて自治体が住居や福祉の面での支援サービスなど様々な優遇制度を用意してあげるというものです。

都会での仕事をキープしながら地方での暮らしもしてみたい、いわゆる「二拠点生活」を考えている人も結構いるのではないでしょうか。そんな人たちを“セカンド市民”として上手く取り込めるかどうかも一つの重要な鍵となるような気がします。

陽気で話し上手な地元「だるま寿司」のご主人

陽気で話し上手な地元「だるま寿司」のご主人

最初は単なるボランティア的参加だった人でも、応援活動のため何度も南砺を訪れるうちに、優遇制度を利用して地域コミュニティとの繋がりをより深めることができれば、南砺への本格的な移住もより現実的かつ積極的に考えてもらえるようになることでしょう。そして、近い将来、南砺市が日本の地方創生、地域活性のための先駆者的モデルケースになってもらえればいいなと思いました。

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