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Panasonic AG-AF105レポート

<ビデオサロン2011年3月号に寄稿>

 今回のネットシネマの撮影では、限られた予算と時間の中ということで、最初、EOS 7Dなどのデジタル一眼を使おうかと考えていた。ボケ味を活かしフィルム的な雰囲気を出すという狙いもあったからだ。ただ、アクションシーンで手持ち撮影をする必要があり、ローリングシャッター(RS)による画面の歪みをどうするかで悩んでいた。そんな時、運良くPanasonicさんの協力でAF105を試す機会が得られ、RS歪みもかなり改善されたという話もあり、是非この作品で使ってみようということになった次第だ。ここではその現場でのカメラの使用状況を、主に機能性を中心にレポートしたい。

 AF105は、HVX系カメラの流れを組み、RECボタン以外の基本的なスイッチ系統や、パラメータの切り替えメニュー画面内の操作などは従来の作りと似ていて、現場でもそれほど戸惑うことなく使うことができた。

 デジタル一眼での撮影の場合、現場のモニター出しをどうするか、毎回頭を悩ましてきた。ファインダーの代わりに付ける小型モニターはカメラの機動性を下げ、ケーブル端子の接触不良による映像信号の断線は現場の進行を度々止めてしまっていたからだ。その点、AF105は液晶画面は当然のこと、XLR音声入力や内蔵NDフィルター、波形表示機能なども付いているので、デジタル一眼の様に別で機材を揃える必要はなく、カメラ周りもスッキリして現場での機動性も上がり助かった。

 夜、ビルの屋上でのアクションシーンがあり、そこはほぼ手持ち撮影で行った。ある程度の被写界深度が欲しかったので、ISO1250、f/4~5.6で撮影したが、夜空が主な背景のショットでは殆どノイズを感じず、ISO2000位にしてもまだ大丈夫な気がした。ただ、隣のビルの壁が背景にある場合、そこには多少のノイズを感じたので、そこは条件次第というところか。心配していたRS歪みだが、カメラを激しく横に振ったり、手持ちで人物の動きを追ったりするショットでも全く気にならなかった。ただ、フラッシュバンド現象は出たので、HPX305の様に補正機能が付くのを期待したい。

 アクションシーンで大いに活用したのが、VFR記録機能でのハイスピード撮影。これまで、このクラスの機種では720pモードでしか撮れなかったので、1080で撮れるのは大きな魅力だった。フレームレートの切り替えも、以前の様にいちいちメニュー画面など開かず、カメラ本体後ろにあるダイアルボタンで素早く切り替えられ、現場の流れを止めることなくシーンを撮り続けることができた。

 ただ、VFR機能を使うにはいくつかの条件を満たす必要がある(特に④の設定は気がつきにくい)ので注意したい。(①Class6以上のSD/SDHCカードを使用 ②オペレーションタイプは"FILM CAM" ③RECフォーマットは"PH1080/24p,30p,25p"のいずれか(720モードでは使用不可) ④AV IN/OUTのSDI 24PsF設定を"OFF")

 収録にはSDHCカードの32Gを4枚用意したが、結果的に16Gを4枚で十分だった。PHモードで16Gなら約90分(EOS 60Dの約2倍)の収録が可能。P2カードとは収録時間にそれほど差はないが、コスト面を考えるとかなり安く(1/4程度に)抑えられて、カードのレンタル代がカメラ本体のそれより高くつくようなことにならずに済み、低予算の現場には有り難いのではないだろうか。

 レンズだが、できれば、PLマウントを付けツァイスのコンパクトプライムなども試してみたかったが、今回は、LUMIXのマイクロフォーサーズ14-140㎜とZUIKOのフォーサーズ14-35㎜のスチルレンズ2本のみで撮影をしてみた。

 LUMIXのズームは、レンズ自体にフォーカス表示はなく、カメラの液晶画面内の数値(ft/m)とフォーカス・イン・レッドなどのアシスト機能でピント確認をするしかない。AF撮影で構わない場合には有効かもしれないが、手動でフォーカスを合わせるドラマ撮影などには使い勝っては余り良いとは言えない。手振れ防止機能はある程度有効だったし、オートズーム機能も使えるようになれば、もっと利用価値のあるレンズになるかもしれない。

 マウントアダプターを付けて使用したZUIKOズームの方は、f/2の持ち味を活かしたボケ味が気持ちよく、リングに粘りもあるので手動でのスムーズなズーミングもできるなど、なかなか使い勝手は良かった(強いて言えば、もう少しテレ側(50㎜位)まで欲しいところか)。ただ、きちんとファームアップできていなかったのか、ズームの途中で絞りが勝手に動いてしまう現象があったので、使う前の確認が必要だ。

 特にレンズ周りに関しては、デジタル一眼と同様、撮る作品に合わせ、どんなレンズ、アクセサリーを使うか各ユーザーの創意工夫が必要となるだろうし、またそこが、このカメラを使う醍醐味の一つであると言えるだろう。今後、パナソニック以下、第三者メーカーが、このカメラのためにどんな関連商品を出してくれるのか楽しみにしたいところだ。

 動画共有サイト「ニコニコ動画」が配信するオリジナルドラマの第1作。特別編として45分程のショートムービーとして作られた。タフでクールな女刑事・間際(渡辺奈緒子)と同僚のおたく系刑事・雄野(けったろ)が動画探偵と呼ばれる男・ぐれいと(赤飯)と共に連続殺人事件を解決するというストーリー。”ニコ動スター”と呼ばれるアイドル(?)達が多数出演する。監督は手塚眞。配信は4月からの予定だが、その前に来月3月に開かれる沖縄国際映画祭で上映される予定。

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