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AG-AF105 カメラレポート①


●カメラを選んだ理由

 今回、限られた予算と時間の中でネットシネマを撮るにあたり、最初、EOS 7Dなどのデジタル一眼を使おうかと考えていた。監督と作品のルックを話した時にフィルムっぽい感じを出したいということで、極力ボケ味を活かした画作りをしようと考えもあったので。ただ、アクションシーンで手持ち撮影をする必要性があり、ローリングシャッター現象による映像の歪みの問題をどうするかで悩んでいた。そんな時、運良くPanasonicさんからの協力でAF105を試せる機会を得られ、RS現象もかなり改善されたという話も聞いていたので、是非、今回の作品で使わせてもらおうという事になった。

●現場での使用感

 仕上げ・カラコレ作業で充分に時間を掛けられるかどうか分らないという事情もあり、なるべく現場で、モニター上の波形などを見ながら色味やコントラストを調節して絵を作り込む方針となった。AF105は、RECボタン以外の基本的なスイッチ系統や、ガンマ設定等のパラメータの切り替えメニュー画面内の操作などは従来のHVX/HPX系などの作りと似ていたので、現場でもそれほど戸惑うことなく操作を使うことができた。

 デジタル一眼での撮影では、現場のモニター出しをどうするかで毎回頭を悩ましてきた。外付けモニターを繋げるとカメラ本体の液晶画面で見られなくなる(※)ので、ファインダーの代わりに小型液晶モニター(必要ならSDIコンバータも)を付けるのだが、それらはカメラの機動性を下げるし、その上、HDMIケーブル端子の接触不良によりモニターの映像もよく途切れるしと、現場の進行を遅らす要因になっていたからだ。その点、AF105は液晶画面は当然のこと、XLR音声入力や内蔵NDフィルター、波形表示機能なども付いているので、デジタル一眼の様に別途で機材を揃える必要はなく、カメラ周りもスッキリして現場での機動性も上がり助かった。(※GH2は可能になったが)

<感度>

 夜、ビルの屋上でのアクションシーンがあり、そこはほぼ手持ちで撮影を行った。ある程度の被写界深度が欲しかったので、ISO感度1000~1250、絞りf/4~5.6で撮影したが、真っ暗の夜空が主な背景のショットでは殆どノイズを感じず、ISO2000位にしてもまだまだ大丈夫な気がした。しかし、隣のビルの壁など薄暗いものが背景にある場合や、スモークをうっすらと焚いた場合などは、そこに少し(場合によってはかなり)のノイズ(S/N)を感じたので、どこまで感度を上げられるかはその場の状況次第と言える。

<ローリングシャッター現象>

 心配していたローリングシャッターによる歪みの方は、カメラを激しく横に振ったり、手持ちで人物の動きを追ったりするショットではほとんど気にならなかったが、逆にちょっとしたカメラの動きの中での歪みが気になる時があり、大きな画面で見てきちんと確認したいところではある。フラッシュバンド現象は出たので、HPX305の様に補正機能が付くのを期待したい。

<VFR記録>

 VFR記録機能でのハイスピード撮影はアクションシーンで大いに役に立った。これまで、このクラスの機種では720pモードでしか撮れなかったので、1080で撮れるという違いは大きいと思う。今までだと、せっかく本編は1080pで撮っていても、ハイスピードの部分だけ720pに画質を落とさないとならず、不満があったので。フレームレートの切り替えも、以前の様にいちいちメニュー画面など開かず、カメラ本体後ろにあるダイアルボタンで素早く切り替えられ、現場の流れを止めることなくシーンを撮り続けることができた。

 ただ、VFR機能を使うにはいくつかの条件を満たす必要があり、特にAV IN/OUTのSDI 24PsF設定を"OFF"にしないとならないという条件は、マニュアルをちょっと読んだだけでは分からず、どうやったらVFR機能をONに出来るのか分からなくて悩んでしまった。

<収録メディア:SDHCカード>

全4日間の撮影で、収録にはSDHCカードの32Gを4枚用意したが、結果的に16Gを4枚で十分だった。PHモードで16Gなら約90分、EOS 60Dの約2倍の収録が可能でかなり重宝する。P2カードとは収録時間だけで考えれば、それほど差はないが、コスト面を考えるとかなり安く(1/4程度に)抑えられて、カードのレンタル代がカメラ本体のそれより高くつくようなことにならずに済む。必要なら、家電ストアですぐ手に入るし、低予算作品やアマチュアユーザーには有り難いのではないだろうか。ただ、これまでP2カメラを使ってきたユーザーは、ハシゴを外された気分もあるので、彼らもこのカメラを活用できるシステム(例えば、ポータブルP2カードスロット?など)が使えるようになるといいかも知れない。

<レンズ>

出来ればレンズは、PLマウントを付け、ツァイスのコンパクトプライムなども試してみたかったのだが、今回は予算も現場での時間も限られていたので諦め、Panasonicさんからお借りしたLUMIXのマイクロ4/3とZUIKOの4/3の2本のスチルレンズで撮影してみた。

 LUMIXのズームの方は、レンズ自体にフォーカス表示はなく、カメラの液晶画面内の数値(ft/m)とフォーカス・イン・レッドなどのアシスト機能でピント確認をするしかない。フォーカスリングの径は小さく、回転の粘りもないのでピント送りはやりづらい。AF撮影で構わない場合には有効かもしれないが、手動でフォーカスを合わせるドラマ撮影などには使い勝っては余り良いとは言えない。しかも、オート機能にすると、レンズが作動する音がカタカタ聞こえてくるので、使える状況はかなり限られてくるのではないか。手振れ防止機能はある程度有効だったので、オートズーム機能も使えるようになれば、もっと利用価値のあるレンズになるかもしれない。

 マウントアダプターを付けて使用したZUIKOズームの方は、f/2の持ち味を活かしたボケ味が気持ちよく、リングに粘りもあるので手動でのスムーズなズーミングもできるなど、なかなか使い勝手は良かった。強いて言えば、もう少しテレ側(50㎜位)まで欲しいところ。ただ、きちんとファームアップできていなかったのか、ズームの途中で絞りが勝手に動いてしまう現象があった。

●改善して欲しい点

◯ファインダー(ショルダーサポートを使った時にちょうど目の位置に来るといい)

◯P2カードの利用ができるシステム

◯オートズームレバー機能付きのグリップ、ハンドルとそれに対応したレンズ

◯RECボタンの感触(押した時の手応えが弱く、ちゃんと押したかどうか分かりづらかった)

◯暗めの画面にした時に液晶に点滅する”ND2”などの警告サイン(NDフィルターを使いながら故意に暗めの画を狙う場合もあるので。邪魔になるので、暫くして自動的に消えるか、設定でOFFにできるようになるといい)

◯ローリングシャッター現象

●データの取り込み/管理など

 カードが十分あったので、現場で取り込みをする必要はなかったが、撮影した素材を現場出しする必要があったので、Mac Book ProのFCPを持ち込み、現場で取り込みをしたところ、最初、素材に時々(何カットかに一回)細い帯状のブロックノイズが画面中央に1フレ走り慌てたが、もう一度取り込み直してみると、今度は別の場所にノイズが出たので、元素材の問題ではないことが判明してひと安心した。結局、その日の分も含め、撮影済み素材はプロデューサーが持ち帰り、プロダクションのMac Proで取り込んだ。(Final Cut Pro(バージョン7)で取り込み、Apple ProRes 422で編集)ノイズも特に問題ないことが分かる(ただし、ノイズの出た原因は不明)。

●現場での技術スタッフ構成

 撮影部:技師、助手1名、照明部:技師、助手2名、録音部、技師、助手1名(VEなし)

●主な撮影機材

◯カメラ:Panasonic AG-AF105

◯レンズ:LUMIX G VARIO HD 14-140㎜/F4-5.8

◯レンズ:ZUIKO DIGITAL ED 14-35㎜ /F2.0 SWD

◯HDモニター:SONY LMD-940W

○三脚:Sachtler Video18(φ100㎜)

◯マットボックス:Redrock Micro

○SDHCカード:CLASS10 32GB(x4)

●主なカメラ設定

◯撮影フォーマット:PH 1080/23.98p

◯GAMMA:Cine-like V

◯MATRIX:Cinelike

◯シャッター:1/50

●カメラマン・プロフィール

名前:百瀬 修司

所属:フリーランス

作品履歴:『魁!!クロマティ高校 The Movie』(2004/映画)、『夢十夜』(2007/映画)、『東京残酷警察』(2008/映画)、『テケテケ』(2008/映画)、『ヘルドライバー』(2010/映画)、『ゆっきーな』『けの汁』(2010/短編映画)など

●作品の概要

 動画共有サイト「ニコニコ動画」が配信するオリジナルドラマの第1作。特別編として45分程のショートムービーとして作られた。タフでクールな女刑事・間際(渡辺奈緒子)と同僚のおたく系刑事・雄野(けったろ)が動画探偵と呼ばれる男・ぐれいと(赤飯)と共に連続殺人事件を解決するというストーリー。”ニコ動スター”と呼ばれるアイドル(?)達が多数出演する。監督は手塚眞。配信は4月からの予定だが、その前に来月3月に開かれる沖縄国際映画祭で上映される予定。

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