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AG-AF105 カメラレポート②

AG-AF105におけるマイクロフォーサーズ/フォーサーズレンズの動作確認

<カメラを選んだ理由>

 今年1月に撮ったネットシネマの企画第2弾を撮影するにあたり、SonyのPMW-F3という案もあったが、レンズの関係でズームなどチョイスが色々と可能なAG-AF105を前回と同様使わせてもらう事に決めた。前回提出したAF105の使用レポートでは、感度・ローリングシャッター・VFR記録・収録メディア・レンズなど、カメラの全体の使用感についてだったが、今回はAF105でのレンズの使用感だけに特化した内容でレポートを書かせてもらった。今回の撮影では、雑誌ビデオサロンなどの協力もあり、マイクロフォーサーズ(μ4/3)系レンズを4本、フォーサーズ系レンズを5本揃えてもらい試すことができた。(但し、今回もドラマ作品の撮影での使用だったため、ほとんどの場合がマニュアルによるフォーカス、アイリス操作となり、オートやリモートによる動作の確認・検証はできなかったので、その点はご了承を)

<マイクロフォーサーズマウント系レンズ>

 そのコンパクトな構造のため、ほぼ全てのマイクロ4/3系レンズの径は小さく、フォーカスリングには基線もない。また、エンドストップもなくリングは回りっぱなしになる。なので、映画撮影などの現場でフォーカス送りのため普通に行われるピン打ちという作業が、これらのレンズを使う場合には余り意味をなさなくなってしまう。また、実測距離とカメラの液晶画面に表示されるフォーカスの数値が違ったり、カメラとレンズ(特にズームレンズ)間での電気系統による不具合により、フォーカスリングの送りが正しくレンズに伝わらなかったり、ズーミングの途中で絞りが変わるという現象が起こった。

① LUMIX G VARIO HD 14-140㎜ F4.0-5.8 ASPH/MEGA O.I.S.

 35㎜判換算で28㎜から280㎜とこれ1本でカバーしてしまう重宝な標準/望遠ズームで、レンタル機材店で、AF105用の標準ズームとして用いているところも多い。どのレンズでも言えることだが、μ4/3系の場合、ボケ味を活かした画作りをしたいと思うと、状況にもよるが、絞りf2.8辺りまで開けたくなるので、f4.0までしか開けられないレンズは若干物足りないように感じる。OIS機能はかなりの効果があった。

 カメラ本体とズーム間での電気系統の不具合なのか、ズーミングをすると明るさが1/3絞りずつ段階的に変化し、さらに、素早いズーミングをすると映像が途中で完全にボケる現象が起こる。(ズーミングの途中で絞りが変わるのは、基本的にどのズームレンズを装着した場合にも起こった)

② LUMIX G VARIO 45-200㎜ F4.0-5.6/MEGA O.I.S.

 このレンズもフォーカスリングに基線がなく、かつエンドストップもなく回りっぱなしになるので、マニュアルによるピント合わせはやりづらい。(因みに、AFモードにすると、レンズの動作音がカタカタと聞こえてくるので、静かな場面での撮影には向かないかもしれない) これも14-140㎜と同様、ズーミング中に絞りが変化し、素早いズーミングをすると途中のフォーカスが大きくボケる現象が起こる。

O.I.S.機能は望遠側でもかなり有効。

③ LUMIX G VARIO 20㎜ F1.7 ASPH.

 パンケーキ型レンズなので、フォーカスリングが小さくて持ちづらいというのがあるが、適度な粘りのあるリングは回しやすい。ただ、送っている途中でカメラ側の画面表示のフォーカス数値が若干変わる現象があった。

④ LEICA DG MACRO-ELMARIT 45㎜/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.

 マクロ撮影時にAFモードにしたが、かなり正確にピントが合った。マニュアル操作でもフォーカスリングは適度な粘りがあり回しやすい。O.I.S.機能もマクロ撮影時にはかなりの効果がある。

<フォーサーズマウント系レンズ>

 どれも純正マウントアダプターDMW-MA1を介して使用した。LEICA系のレンズでは、ズーミングの途中で絞りが変化するような現象は起きなかったが、フォーカスリングの操作で若干の不具合を感じた。逆に、OLYMPUS系のレンズの方は、フォーカス操作での不具合はほとんどなかったが、ズーミングの途中で絞りが変わる症状があった。

⑤ LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50㎜/F2.8-3.5 ASPH./MEGA O.I.S.

 μ4/3系ズームにはない絞りf2.8の明るいズームレンズで、ボケ味を活かした画作りが楽しめた。μ4/3系レンズよりもレンズ自体が大きく、ズームやフォーカスリングにも粘りがあるので操作しやすい。Panasonicの公式HPでは、このレンズでのO.I.S.機能は無効と表記されているが、レンズ側のスイッチをONにすると問題なく使えた。

 このレンズでもμ4/3ズーム同様の不具合が発生し、ズーミングの途中で絞りが変わる現象が見られたり、マニュアルでのピント合わせでの問題も発生。フォーカスリングを回している途中で、急にフォーカス点が変わらなくなる瞬間があった。また、フォーカスを送る際の画角変動(ブリージング)も少し気になった。

⑥ LEICA D VARIO-ELMAR 14-150㎜/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.

 14-50㎜ F2.8-3.5と同様、レンズ側のO.I.S.機能が有効。

 このレンズでもズーミングの途中で絞りが変化した。マニュアルでのピント合わせ操作は、多少の14-50㎜ F2.8-3.5のような不具合は見られなかったのだが、度々何かの拍子にズーム、フォーカス、絞りが完全にロックされて動かなくなる現象が発生し、その都度カメラ本体の電源を入れ直さなくてはならなかった。

⑦ LEICA D SUMMILUX 25㎜/F1.4 ASPH.

 単焦点レンズなので、ズームレンズで起こるような問題は見られないが、若干フォーカスリングが空回り気味になる瞬間があり、マニュアルでのピント合わせにコツがいる。

⑧ ZUIKO DIGITAL ED 7-14㎜ F4.0(OLYMPUS)

 PanasonicはAF105への対応レンズとして動作確認済みとはしていないが、一応、絞りや焦点距離、フォーカスなどレンズ側の情報はカメラの液晶画面に問題なく表示された。ただ、ズームリングを動かすと絞りがパカパカと1/3絞りほどずつ変わる現象が起こった。

 パンなどをしながらのズーミングやピン送りの時、ズーム、フォーカスリングの動きがあまり滑らかだと回し過ぎたりして操作しづらいのだが、このレンズのリングは程よく粘りがあって操作しやすかった。

⑨ ZUIKO DIGITAL ED 14-35㎜ F2.0 SWD(OLYMPUS)

 Panasonicが公式HPで、AF105への対応レンズとして確認済みとしている唯一の他メーカーのレンズ。7-14㎜ F4.0と同様、レンズの情報はカメラの液晶画面に表示された。

 ED7-14㎜ F4.0ほどではないが、ズームリングを回して行くと途中で一度だけ絞りが変わる瞬間があった。ズームリングは渋すぎてスムーズに回すのが難しかった。

●データの取り込み/管理など

 前回と同様、撮影済み素材はプロデューサーが持ち帰り、プロダクションのMacで取り込み、ProResに変換。後日、現場に戻すという体制。(Final Cut Proで編集)

●現場での技術スタッフ構成

 撮影部:技師、助手1名、インターン1名

 i照明部:技師、助手2名、インターン1名、

 録音部、技師、助手2名(VEなし)

●主な撮影機材

◯カメラ:Panasonic AG-AF105

◯レンズ:上記参照

◯HDモニター:SONY LMD-940W

○三脚:Sachtler Video18(φ100㎜)

◯マットボックス:Redrock Micro

○SDHCカード:CLASS10 16GB(4)

●主なカメラ設定

◯撮影フォーマット:PH 1080/23.98p

◯GAMMA:Cine-like Vなど

◯MATRIX:Cinelikeなど

◯シャッター:1/50

●カメラマン・プロフィール

名前:百瀬 修司

所属:フリーランス

主な作品履歴:『魁!!クロマティ高校 The Movie』(2004/映画)、『夢十夜』(2007/映画)、『東京残酷警察』『テケテケ』(2008/映画)、『ヘルドライバー』(2010/映画)、『ゆっきーな』『けの汁』(2010/ショート)『動画探偵ぐれいと・スペシャル ニコニコ連続殺人事件』(2011/ショート)など

●作品の概要

『クラブ・ニコラ』/『動画探偵ぐれいと・スペシャル2 ニコニコ心霊殺人』

 動画共有サイト「ニコニコ動画」が配信するオリジナルドラマの第2弾。今回は2本のショートムービーを同時に製作した。『クラブ・ニコラ』はオムニバス形式のホラー作品。不気味な洋館「クラブ・ニコラ」に辿り着いた3人の女性がそれぞれ体験する恐怖を描く。『ニコニコ心霊殺人』は「動画探偵ぐれいと・スペシャル』のパート2。タフでクールな女刑事・間際と同僚のおたく系刑事・雄野が動画探偵と呼ばれる男・ぐれいとと共に難事件を解決する。監督は手塚眞。8月から劇場での公開とネット配信の予定。

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