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AG-AF105 カメラレポート③


AG-AF105と他社レンズ使用時の操作・機能状況(Canon EFレンズの場合)

◯カメラを選んだ理由

これまで手塚組のネット動画の撮影で、AF105を用いてLumix、Leica、Olympusといくつかのマイクロフォーサーズやフォーサーズ系のレンズを使ってみた。前のレポートで書いたように、フォーカス、ズーム、絞り、手振れ防止機能と、どのレンズにも操作面、機能面において何らかの問題・課題があり、ドラマの撮影において満足のいく結果を出せたのはわずかに数本だった。今回、雑誌ビデオサロンからの協力もあり何本かのEOS系レンズを借りる機会を得たので、絞りやフォーカスなどでどのような問題があるかをAF105で実際に使って検証してみることとなった。

◯使用したレンズなど

マイクロ4/3は35㎜フル換算だと2倍に相当するので、主にワイドから標準めのズーム3本を用意

EF8-15㎜ F4.0L

EF16-35㎜ F2.8L

EF24-70㎜ F2.8L

Kipon製 絞り機能付き EOS-マイクロ4/3用マウントアダプター

◯絞り

今回使用したマウントアダプターには電子系統がついていないので、EFレンズをAF105に使用する場合、絞りやオートフォーカスは機能しない(EFレンズには絞り環がなく絞りの開閉は全てカメラ側で制御する)。EFレンズをAF105につけると絞り開放状態のままになってしまうのだが、それをマウントアダプターの絞り羽で露出を調節することになる。本来の絞りの位置よりも後ろ側に絞り羽が来るので、絞りを閉じていくと徐々に周辺減光が起こり、もっと絞り込んでいくと四隅にケリが生じてしまう。

因みに、Redrock microから最近発売されたリモート絞り機能付きのEOS-マイクロ4/3用マウントアダプターは、レンズに電源供給してレンズの絞りを直接動かすタイプなのでケリなどの問題を心配せずに済む。今後はこのマウントアダプターのような、レンズ側の絞りを直接コントロールできるアクセサリーが増えてきて、マイクロフォーサーズ(または、フォーサーズ)系以外のレンズも使用する機会が増えると思われる。(現在のところ、Redrock microのマウントアダプターもコントロールできるのは絞りのみでフォーカス操作までは対応していない)

◯フォーカス

Kiponなどの中国製のアダプターは、規定のフランジバックよりも若干短めに設計して、オーバーインフ気味にしていることが多い。個体差のある様々な交換レンズに対応できるように、わざとオーバーインフにすることにより確実に無限遠が出せるようにしているのだが、これによる幾つかのデメリットもある。レンズの∞マークで無限遠を過ぎてしまうので、遠景撮影ではその度ピントを確認しなくてはならないのが一点と、ズームレンズを使用する場合、望遠側でフォーカスを合わせてから広角側に戻すとフォーカスがずれる、いわゆる引きボケの状態になってしまうので、フォーカス合わせの作業が面倒になってしまうという点だ。映画の撮影などではよく、レンズのフォーカスリングに正確な基線を付け直すピン打ちという作業をするが、オーバーインフだとピン打ちが意味をなさなくなってしまうので、現在AF105にあるFA(フォーカスアシスト)機能に加えて、Lumix GH2などのように拡大表示できる機能があれば、より確実にフォーカスを合わせられて便利になる。

◯オートズーム機能

現在のところ、AF105にはズームレバーなどのオートズーム機能は付いておらず、ズームレンズを使用中にズーミングが必要な場合は手動で行うことになる。先日、展示会でAF105につけたキャノン(フジノン?)のENG用ズームレンズを、マンフロットのズームリモートを使って動かしているのを見かけた。一応動いてはいたものの、カメラとレンズが互いに干渉している(あるいは、電源供給が充分でない)のかレンズがカタカタという音を出して、スムーズに動作してなくて今一歩という感じだった。現在あるENGなどのズームレンズをマウントアダプターを介してAF105に使用できるようにするのもいいが、出来れば、AF105(マイクロ4/3)用オートズーム機能付きズームレンズをフジノンあたりと共同開発してもらえたらと思う。

◯ワイドズーム

ズームレンズの開発だが、個人的にはワイドズームを特に希望したい。マイクロ4/3系は焦点距離が35mm換算で2倍相当になってしまうため、広角側レンズのチョイスが限られてしまうのが現状で、今回の撮影でも広角用にCanon EF8-15mmを用意したが、本来魚眼レンズなので周辺の歪みがあり、AF105において普通の広角レンズとして使えたのは12~15mmの範囲のみだろうか。その点、Lumix 7-14mm/F4.0や、Olympus ED7-14mm F4.0は歪みも少なく優秀なので、これらのワイドズームがAF105でオートズーム機能も使えるようになれば、かなりのユーザーが使いたがるマスターピース的存在になるはず。(欲を言うと、Lumix 7-14mmはマニュアルフォーカスでピン送りが確実にできるようになるともっといいのだが)

◯手振れ補正機能

AF105はレンズ内手振れ補正方式※を採用しているので、基本的にLumixなどパナソニック製以外のレンズに手振れ補正は機能しない。(※オリンパスのカメラはボディ内蔵式(撮像センサーシフト式)を採用しているので、理論的にはどんな交換レンズを使用している場合でも手振れ補正が可能となる)

レンズ・カメラ間の機能の互換性に制限をつけて、使用できるレンズを自社製のみへと差別化を図るのがいいか、あるいは、カメラ本体側の利便性をあげて、他社製レンズも積極的に使ってもらうようにするのがいいか、考え方は2つに分かれるところだと思う。しかし、フォーマットもマウントも様々だが自分のお気に入りのレンズを使いたいというユーザーが増えている現状を見ると、後者のようにカメラ側の他社製レンズなどの受け入れ体制をもっと整えてもらう方が賢明なように思う。

●データの取り込み/管理など

 前回と同様、撮影済み素材はプロデューサーが持ち帰り、プロダクションのMacで取り込み、ProResに変換。後日、現場に戻すという体制。(Final Cut Proで編集)

●現場での技術スタッフ構成

 撮影部:技師、助手1名、応援助手1名

 照明部:技師、助手2名、インターン2名、

 録音部、技師、助手1名(VEなし)

●主な撮影機材

◯カメラ:Panasonic AG-AF105

◯レンズ:EF8-15㎜ F4.0L、EF16-35㎜ F2.8L、EF24-70㎜ F2.8L

◯マウントアダプター:Kipon EOS-μ4/3マウントアダプター 絞り機能付き

◯HDモニター:SONY LMD-940W

○三脚:Sachtler Video18(φ100㎜)

◯マットボックス:Redrock Micro

○SDHCカード:CLASS10 16GB(4)

●主なカメラ設定

◯撮影フォーマット:PH 1080/23.98p

◯GAMMA:Cine-like Dなど

◯MATRIX:Cinelikeなど

◯シャッター:1/50

●カメラマン・プロフィール

名前:百瀬 修司

所属:フリーランス

主な作品履歴:『魁!!クロマティ高校 The Movie』(2004/映画)、『夢十夜』(2007/映画)、『東京残酷警察』『テケテケ』(2008/映画)、『ヘルドライバー』(2010/映画)、『ゆっきーな』『けの汁』(2010/ショート)『動画探偵ぐれいと・スペシャル ニコニコ連続殺人事件』(2011/ショート)など

●作品の概要

『クラブ・ニコラⅡ』

 動画共有サイト「ニコニコ動画」が配信するオリジナル動画の第3弾で、前回制作したオムニバス形式のホラー作品『クラブ・ニコラ』のパート2。ハロウィーンの夜、森で迷った3人の女性がそれぞれ体験する恐怖を描く。監督は手塚眞。10月30日限定での劇場公開とネットでの配信予定。

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