SONY NEX用レンズ(ソニー A / Eマウント)
<デジタルムービー実践ガイドブックに寄稿⑤>
ソニーNEXマウント系レンズ(A / Eマウント)
パナソニックよりひと足遅れて登場したソニーのミラーレス一眼NEXシリーズ。APS-Cサイズの大判センサーによる、夜間撮影に強い高感度と大きなボケ味が魅力だ。様々なレンズを使って画作りを楽しみたいところだが、Eマウント系レンズはまだ出揃い始めたばかりで、タムロンなどの第三者メーカーのレンズを入れても全部で10本程度しかない。今後のラインアップに期待したいところだが、マイクロフォーサーズ系と同様、Eマウント系レンズには絞り環がなく、フォーカスリングも基線なしというシンプルな作りになっていて、レンズの操作性面から言うと、マニュアル操作でじっくり映像を撮りたいという人には少し不十分に感じるかもしれない。
ソニーには、ツァイスなどの高性能レンズを含むαシリーズ用の豊富なAマウントレンズ群があり、そちらを大いに活用したいところだが、まだEマウントとの互換性が完全ではない。最新のマウントアダプターを使った場合でも、動画撮影時の絞り設定などにいろいろと制限があり注意が必要で、FS100に至っては、絞りは開放固定、オートアイリス・AFにも非対応となり、Aマウント系レンズはほぼ使えないのが現状。FS100での撮影でマニュアルによるフォーカス・絞り操作を行いたければ、他のマウントアダプターを介して、ニコンAiレンズかキャノンEFレンズを使うというのが一番現実的な方法だろうか。(マウントアダプターについての詳細は別枠を参照のこと)
●Aマウント系(35㎜フルサイズ/ASP-Cサイズ用)
Vario-Sonnar T*16-35mm F2.8 ZA SSM
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :16~35㎜ / 35㎜判換算:24~52.5㎜
F値:2.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.28m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :77㎜
最大径x長さ:φ83x114㎜
重量:860g
手振れ補正:なし
開放F値が通し2.8というカールツァイスの大口径広角ズーム。レンズ中央部はズーム全域で開放からとてもシャープ。周辺部は望遠側の開放でやや甘くなるが、F5.6まで絞ればほぼ改善される。周辺光量落ちは広角側で開放付近で目立つが1段絞ればかなり解消される。APS-Cサイズのカメラで使う分には全く問題がない素晴らしい解像力。これとT*24-70㎜ F2.8があれば、広角24㎜から中望遠105㎜相当(35㎜判換算)の範囲が通しF値2.8で押さえられてしまう。
Vario-Sonnar T*24-70mm F2.8 ZA SSM
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :24~70㎜ / 35㎜判換算:36~105㎜
F値:2.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.34m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :77㎜
最大径x長さ:φ83x111㎜
重量:955g
手振れ補正:なし
T*16-35㎜ F2.8と同様、全域開放F値2.8のカールツァイス標準ズーム。35㎜判換算で36~105㎜相当の画角をカバー。中央部はズーム全域でとてもシャープ。周辺部は開放時でやや甘くなるが、F4まで絞ればかなり改善される。APS-Cサイズで使う分には全く申し分ない優秀なレンズ。
ズームリングは粘りがあり若干固めで、ズーミングすると鏡筒が半分ほど繰り出してくる。MFでのフォーカスリングはスムーズ。フォーカスの基線はあるが、フォーカスリングの回転角が狭いのでMFでのピン合わせは結構難しい。ピン送りの際のブリージング(画角変化)も若干気になる。
Distagon T*24mm F2.0 ZA SSM
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :24㎜ / 35㎜判換算:36㎜
F値:2.0(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.19m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :72㎜
最大径x長さ:φ78x76㎜
重量:555g
手振れ補正:なし
中央部の解像力は開放からかなりシャープ。周辺部はやや甘いがF5.6まで絞ればほぼ改善される。周辺光量落ちも開放でやや目立つが1段絞ればかなり解消する。フルサイズでは周辺部、四隅みの甘さが目立ってしまうが、APS-Cサイズで用いる分には全く問題ない。
Planar T*85mm F1.4 ZA
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :85㎜ / 35㎜判換算:127.5㎜
F値:1.4(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.85m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :72㎜
最大径x長さ:φ81x75㎜
重量:640g
手振れ補正:なし
キャノン EF85㎜ F1.2Lと並ぶポートレートレンズの代表格。開放付近ではソフトな描写が得られるのだが、F2.8まで絞り込めば非常にシャープになる。フルサイズでも中央部から周辺部まで非常に高い解像力を誇る。このレンズの特性を活かし、あえて絞り開放からF2.8までの間で撮り、他のレンズでは出せない独特の映像表現を楽しむべき。MFだとフォーカスリングに若干の遊び、ガタつきがある。鏡筒の繰り出しが半分ほどある。
Sonnar T*135mm F1.8 ZA
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :135㎜ / 35㎜判換算:202.5㎜
F値:1.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.72m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :77㎜
最大径x長さ:φ88x114.5㎜
重量:995g
手振れ補正:なし
レンズ中央部は開放から非常にシャープで、周辺部もF4まで絞れば極めてシャープになる。開放での周辺光量落ちが若干目立つがF2.8まで絞ればほぼ解消する。解像力、ボケ味ともに非常に優秀なレンズ。MFでのフォーカス送りは滑らかでとても送りやすい。
35mm F1.4 G
対応センサーサイズ:35㎜フル・APS-C
焦点距離 :35㎜ / 35㎜判換算:52.5㎜
F値:1.4(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.3m
絞り羽根:9枚(円形絞り)
フィルター径 :55㎜
最大径x長さ:φ69x76㎜
重量:510g
手振れ補正:なし
コニカミノルタの『Gレンズ』を継承した単焦点レンズ。中央部は開放ではソフトだがF2.8まで絞ればかなりシャープになる。周辺部はF5.6まで絞ってもなかなか改善されない。周辺光量落ちは開放では目立つがF2.8まで絞るとかなり解消される。フルサイズだと周辺部の解像力の甘さが少し気になるが、APS-Cであれば全く問題ない。絞り込んでシャープな描写を味わえる。MFでのフォーカス送りは非常になめらか。軽くてサイズもコンパクト。
DT 16-50mm F2.8 SSM
対応センサーサイズ:APS-C
焦点距離 :16~50㎜ / 35㎜判換算:24~75㎜
F値:2.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.3m
絞り羽根:7枚(円形絞り)
フィルター径 :72㎜
最大径x長さ:φ81x88㎜
重量:577g
手振れ補正:なし
Aマウント系だがAPS-Cサイズカメラ専用の標準ズームレンズ(Eマウント系カメラには変換アダプターが必要)。広角側は絞り開放でも中央部はかなりシャープで、1段絞れば周辺部までかなりシャープになる。望遠側は開放では若干甘くなるが、これもF4~5.6まで絞ればかなり改善する。ズームリングは若干固めだが手動でのズーミングには有効。ズームすると鏡筒の約半分が繰り出してくる。MFでのピン送り操作だが、リングは基線もありスムーズに回るが送り幅(回転角)は狭い。ピン送りによるブリージング(画角の変化)あり。
●Eマウント系(ASP-Cサイズ用)
E 18-200mm F3.5-6.3 OSS
対応センサーサイズ:APS-C
焦点距離 :18~200㎜ / 35㎜判換算:27~300㎜
F値:3.5~6.3(開放)/ 22~40(最小絞り)
最短撮影距離 :0.3m
絞り羽根:7枚
フィルター径 :67㎜
最大径x長さ:φ75.5x99㎜
重量:524g
手振れ補正:あり(アクティブレンズ方式)
NEX-VG20やFS100Jなどに標準ズームとして付いてくるEマウント専用レンズ。35㎜判換算で広角27㎜から望遠300㎜相当までカバーする11倍の高倍率ズーム。動画撮影時に威力を発揮する手ブレ補正機能(アクティブレンズ方式)に対応。広角側の開放では若干ソフトなのだが、F5.6まで絞るとかなりシャープになる。望遠側の開放では全体的にややソフトになりコントラストも低くなる。中央部は1段分(F8)まで絞ればかなりシャープになるが、周辺部はF11まで絞らないと改善されない。
フォーカスリングには基線はなく、リングを回すスピードによってピン送りの距離が変わってしまうので、シネレンズのようにピン打ちする使い方などはできない。その代わり、AFは動画撮影でもかなり有効。ブリージングもほとんどない。手動でのズーミングもかなりスムーズにできる。ズームすると鏡筒はかなり繰り出す(長さが倍になる)ので、マットボックスを使う場合は注意が必要。レンズを下に向けていると自重で鏡筒が繰り出してしまう(その防止のためかズームのロック機能あり)。
Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA
対応センサーサイズ:APS-C
焦点距離 :24㎜ / 35㎜判換算:36㎜
F値:1.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.16m
絞り羽根:7枚(円形絞り)
フィルター径 :49㎜
最大径x長さ:φ63x65.5㎜
重量:225g
手振れ補正:なし
Eマウント系レンズとしては初のカールツァイスレンズ。絞り開放から中央~中間部はかなりシャープで、周辺部もF2.8まで絞ればかなり改善され、全体的に安定した解像力を誇る。フォーカスリングはとても滑らかで回しやすいが、基線がなく、リングを回すスピードによって送る距離が変わるのでMFでのフォーカス操作にはかなりコツがいる。
E 50mm F1.8 OSS
対応センサーサイズ:APS-C
焦点距離 :50㎜ / 35㎜判換算:75㎜
F値:1.8(開放)/ 22(最小絞り)
最短撮影距離 :0.39m
絞り羽根:7枚(円形絞り)
フィルター径 :49㎜
最大径x長さ:φ62x62㎜
重量:202g
手振れ補正:あり(アクティブレンズ方式)
35㎜判換算で75㎜相当のAPS-Cサイズ専用の中望遠レンズ。光学式手振れ補正機能付き。