デジタル一眼ムービーのためのレンズ選び <まえがき>
<デジタルムービー実践ガイドブックに寄稿②>
デジタル一眼ムービーによる自主制作などの低予算作品ではレンズをそう何本も揃えられない。使える予算はスチル用ズームレンズ1、2本を借りるので精一杯なんてこともあるだろう。また、もし仮にツァイスのコンパクトプライムセットが手に入ったとしても、レンズ交換などで時間が掛かり過ぎ、必要なカットが撮りきれないようなら、それは正しいレンズの選択とは言えないかもしれない。与えられた条件の中からその作品にとって最良のカメラやレンズを選ぶことも、撮影前の大切な準備作業の一つだろう。そのためには、レンズの明るさ・画質などの特性はもとより、フォーカス送りやズーミングなどの動画撮影での操作性もある程度は知っておくべきである。
今回は、キャノンEOS用のEF(EF-S)マウント、パナソニック LUMIX Gシリーズなどのマイクロフォーサーズ(フォーサーズ)マウント、ソニーNEXシリーズなどのE(A)マウントと、3種類のマウント用交換レンズの中から、レンタル機材屋など市場に出回っているレンズ、評判のいいレンズ、新発売のレンズなど、自分の独断と偏見で何本か選んでみた。それらのレンズを実際に撮影の現場で使用してみた感想を、他での評判も参考にしつつ、ここに書いてみた。各メーカーのバージョンアップも日々行われているので、内容的に古い情報もあるかもしれないがそこはご了承を。
今回は紹介できなかったが、シグマ、タムロン、トキナーなどのレンズメーカーからも優れた交換レンズが出ているし、ニコンにも魅力的なマニュアルレンズが多く存在する。他にも動画撮影だと、ツァイスのコンパクトプライムやアンジェニューのズームなどのPLマウント系シネレンズ、キャノンがEOS C300と共に発売したEFシネマレンズもあるのだが、少人数での低予算作品をつくる人向けの内容ということで、これも割愛させてもらった。これらのレンズも是非別の機会に紹介できればと思う。