Libec ジブアーム&リモートヘッド・レポート
<ビデオサロン2012年8月号に寄稿>
ジブアーム SWIFT JIB50
<主な仕様>
アームの長さ:100~190cm
最大搭載重量:20kg(アームの長さ100cm時)
15kg(アームの長さ145cm時)
10kg(アームの長さ190cm時)
重量:16.4kg
ボール径:100mm
◯製品概要
様々なプロの現場で使われているリーベックのジブアームの新製品が発売となる。デジタル一眼カメラや小型業務用ビデオカメラ用に設計されたJB-30をさらに改良。JB-30では延ばすことができなかったアームだが、長さ90㎝の範囲での伸縮が可能となり、従来よりも更に高い位置からの撮影が可能となった(最大高約380㎝)。また、アームをウエイト取付け側に最大30㎝短くすることが可能になり、狭い室内での撮影においてさらに機動性が向上した。リモートヘッドやズーム&フォーカスリモートコントロールと組み合わせることにより本格的な俯瞰撮影もこれ一台で行える。
◯組み立て
今回試したのは、メインのアームSWIFT JIB50に、三脚、キャスタードリー、ウエイト(30kg)が付いたキットだが、組み立て作業は比較的シンプルで、三脚ドリーの上にアームを取付け、ヘッド取付け台の上にヘッドを取付け、カメラを載せて、ウエイトを載せてバランスを取る、だけ。組み立てに工具は特に必要ない。アームをウエイト側に短くする時だけ付属の六角レンチがいる程度。2人いれば10分程度で基本的なセッティングは可能。
◯操作感
90㎝の範囲で伸縮可能なアームはメインアームとサポートアームのロックレバーを回すだけで簡単に長さ調節が可能。
付属の六角レンチを使用してアームをウエイト側に最大で30㎝短くすることができるので、狭い室内での撮影などでの操作がより楽になる。
アームの支柱やヘッド取付け台などに1/4"、3/8"のネジ穴が配置されていて、オペレート時に必要な液晶モニターをマジックアームや雲台などを使って見やすい位置に取付けることが可能。
微調整用のウエイトが付いているので、レンズ交換をしたり、アクセサリーの位置を変えたりした時に起こる微妙なバランスの変化にも、素早く対応することができて便利だ。
搭載重量が最大で20kgとかなり大きめのカメラでも使用が可能。カメラ側の重量を10kg以内に抑えれば、このクラスのミニクレーンの中では最大級となる高さ約4mの俯瞰撮影が可能。デジタル一眼ムービーカメラなどはマットボックスなどのアクセサリーを付けてもせいぜい5kg以内なので、スペック的には充分過ぎるのかもしれないが、他の軽量タイプのミニクレーンとは違い、アームがしなってカメラが揺れるようなこともなく、安定した俯瞰撮影を行うことができた。
リモートヘッド REMO30
<主な仕様>
最大搭載重量:5kg
重量:4.5kg(パン&ティルトヘッド)
:0.7kg(コントロールボックス)
パン/ティルトスピード:約9秒/360°
電源:AC100-240V、DC12V
◯製品概要
75㎜・100㎜のボール径ならほとんどのジブアーム、三脚への取付けができ、すでに所有している機材と組み合せての使用が可能。コントロールユニットCU30以外にも、LANCやパナソニック用に対応したズーム&フォーカスリモートコントローラーと組み合わせて使用することで、さらに利便性を高めることができる。
◯組み立てと操作感
カメラのバランスが悪いと上手く動作しないので、正確なバランス合わせが大切だが、約80㎝の幅で調節が可能なアダプタープレートにより、カメラの前後のバランスを調整することができる。重心の位置合わせも、ティルトアームを90度傾けた状態での正確な調整が可能で、ティルト動作時におけるモーターや駆動部分に負荷をかけずに使用することが可能。
パン&ティルト制御、LANC、モニターの各ケーブルを1本のコントロールケーブルにまとめられ、リモートヘッドとコントロールボックスは1本のケーブルだけのすっきりとした配線になった。またそのケーブルをパン&ティルトヘッドのケーブル通し穴より配線することで、動作時にケーブルが絡まったりせずに、快適な撮影が行えた。コントローラー側でパンやティルトのスピード調整ができるようになっていて、スタート、ストップ時の動きは機械的なカクつきもなくとてもスムーズに行うことができた。
◯総合評価
テクノクレーンなど高価なクレーン機材だとレンタルでも一日何万円も掛かったりするが、工夫次第では、それに充分引けをとらないダイナミックな俯瞰/移動撮影が、はるかに手頃な値段で可能になるだろう。さすがに、簡単には個人所有というわけにはいかないかもしれないが、制作会社で持つとか、知り合い同士で購入して共同所有するのは充分可能ではないかと思う。今回の撮影でお世話になった制作プロダクションのプロデューサーもこのミニジブ、リモートヘッドの値段の安さに驚き、早速購入することを真剣に考えていた。