ALPHATRON EVF-035W-3G
<ビデオサロン2013年2月号に寄稿②>
韓国モニターメーカーのTVLogicが出したEVFファインダーで、こちらも解像度960x640のRetinaディスプレイ(iPhone4/4Sと同じ)で、サイズはCineroid EVF4RVWより僅かに大きい3.54インチ画面を採用。
映像信号は、3G-SDIも含め幅広い入力規格に対応。入出力は、HDMI(ミニ)のIN/OUT、SDIのIN/OUTがそれぞれループスルーできる。その上、HDMI入力の場合はHD-SDIへ変換出力するコンバーター機能つき。今までは、HDMI出力しかないカメラにSDI入力のみの外部モニターを繋ぐ場合、HDMI-SDIコンバータが必要だったが、このEVFを使えばそれが要らなくなる。もともとHDMI端子は衝撃に弱ので、HDMI出力からの映像はすぐ途切れたり、ひどい場合は端子部分自体が壊れたりして、現場では結構それがストレスの原因になっていた。このEVFを使えば、そういったトラブルはかなり解消されるはずだ。
このEVFメーカーはユーザーの意見をかなり参考にしたように思われる。その1つにシャッター式のアイカップ・カバーがある。これは意外に重要で、日中屋外の撮影では、直射日光がルーペのレンズに当って油断しているとすぐ大事なLCD画面に焼き付きを作ってしまう。その対策として他メーカーの場合は、ルーペに被せる保護用キャップなどを用意しているが、慌ただしい現場ではすぐそれをどこかに置き忘れてつい被せそこねてしまい、小さな焼き付き痕を作ってしまいがち。でも、これだとカバーは視度調整リングの手前のシャッター用リングを回して開閉するだけなので、カメラからちょっと離れる時でもワンアクションで遮光でき、面倒くさがりな人でも忘れないだろう。
大きさ・重さは他メーカーより若干上回る程度で、それほど気にならない。ルーペ部分は丸みがあり掴みやすく、何となくソニーなどの業務用ENGカメラのファインダーと似てなくもない。ルーペはフリップアップ式でEVF本体から取り外しはできないが、本体側とルーペ側に磁石が付いていて、開いた時にルーペが本体にピッタリ着いてどんな角度にしても落ちてこない。ここら辺にも、細かいけれどユーザーの意見がよく反映されているように思われる。
バッテリーはソニーのLバッテリータイプのみ対応。バッテリーの持続時間だが、比較的容量が小さいNP-F550で約2時間半保った。F970など大容量タイプを使えば6-7時間くらいは保ちそうだが、EVF全体が700g以上とかなりの重さになってしまうので使いづらそうだ。バッテリー交換が面倒だったりLバッテリーがないという場合は、DタップーミニXLRケーブルでの外部電源も使えるので、Vマウント変換プレートがあれば、リチウムイオンバッテリーをつけて一日バッテリー交換なしでの使用もできるだろう。
その他、画面の色調整を始め、マーカー表示、ピーキング、ゼブラ、画面拡大、カラーバー、ブルーオンリー、タイムコード、オーディオレベルなど、波形・ベクトルスコープ表示以外なら大抵の液晶モニターに搭載されている機能が使えて、さすがモニターメーカーが出したEVFという感じだ。ただ、消費電力も小型液晶モニター並み(9.6W)にあるので、電源対策でひと工夫必要かもしれない。