Cineroid EVF4RVW
<ビデオサロン2013年2月号に寄稿①>
韓国のEVFメーカーCineroid(シネロイド)から発売となった3.5インチ Retinaディスプレイ搭載のEVFファインダー。Cineroidはこれまでに、HDMI入出力タイプ(4MHH)、HD-SDI入出力タイプ(4MSS)、HDMI入力/HD-SDI出力タイプ(4MHS)など入出力タイプ別EVFをいくつか出してきたが、この4RVWはそれら全ての映像入出力機能を兼ね備え、3G-SDIも含め幅広い入力信号に対応、モニターも新しくして、さらにグレードアップさせた。
モニター画面には、iPhone4/4Sと同じ3.5インチ、解像度960x640のRetinaディスプレイを使用し、今までのEVFで主流だった画面サイズ(3.2インチ、解像度800x480)より大きくてかなり見やすくなった。解像度960x640というとフルHD解像度のちょうど半分(16:9の時、使用範囲が960x540)にあたる。フルHDの半分とは言っても、画面サイズが3.5インチと小さい(1インチあたり326画素(326ppi))。なので、肉眼ではこれ以上の違いを認識できないほどに画素が小さく、よって映像が綺麗でなめらかに見えるそうだ(と今は亡きアップルのスティーブ・ジョブズ氏は説明していた)。
今までのEVFの画質だとフォーカスが合っているかどうかを見るのが結構難しく、ピーキング表示を使いピントが合った部分のエッジを際立たせたりして、どうにか判断できていたという状況だったが、このEVFの画面解像度ならピーキングなどのフォーカスアシスト機能がなくても充分判断できるほど画像が鮮明だ。
もちろん、ピーキングをはじめ、ゼブラ、マーカー、ピクセル等倍(ズーム)表示、カラーバーなど従来通りの表示機能も兼ね備えているが、なんと、このEVFには波形とベクトルスコープの表示機能までもが付いてしまった。これまで、現場で波形モニターが見たいという理由で、波形表示機能付きの比較的高級なモニターを別途用意しなければならなかったが、このEVFがあればその必要もなくなるわけだ。
バッテリーはキャノンのLP-E6やソニーのNP-Fシリーズをはじめ、パナソニック、ニコンなど、アダプターを替えればいろいろなバッテリーが使えて便利だ。ただ、LP-E6でテストした時のバッテリーの保ち時間は約2時間と、ちょっと短いのが気になった。バッテリー交換が面倒という場合は、DタップーミニXLRケーブルでの外部電源の使用も可能だ。
大判センサーカメラでの撮影ではピント合わせがシビアなので、モニターでのフォーカス確認がとても重要なのだが、バリアングルでないモニターだとローアングルでは地面に這いつくばっつたり、ハイアングルでは脚立などが必要だったりして覗きにくい。また、天気のいい屋外撮影の時では画面の反射に自分の顔やら後ろの空やらが映り込んで画面がよく見えないなどと、カメラモニターだけではまだまだ充分ではないのが現状だ。そんな時にこのようなEVFファインダーがあるととても役立つだろう。